スーパー公務員F氏 島根のコロンボ物語 後編

或る日、僕の家に島根県の県庁職員が訪ねて来た。
彼は高校時代の同級生だった。何で来たのかと問うと自分は島根県を振興する部署にいるのだが、かつて一世を風靡した町役場のF氏は今はどうしているのか聞きに来たと言う。

「ああ、F氏なら今は水道企業団にいるよ」

「そりゃあ、もったいないな。俺はF氏と面識がないから草笛君から島根県のために島根県庁で企業誘致に携わってみないかと下話をして本人の意向を確認してもらえないか?」

「そりゃあ、いい話だ。彼の才覚を生かすべきだ。協力するよ」

早速、水道企業団の事務所に行ってみると、F氏がおとなしく寂しげにポツンと机に座っていた。
彼の顏にも姿にもまったく精彩がなかった。
往年の「潮来の伊太郎らしさ」は完全に消え失せていた。

ヒマな部署のようで、事務所内は人気もなく閑散としていた。
他の職員がいないのを確認して、僕は島根県庁からの招聘話を切り出した。
F氏の顏が、見る見る霧が晴れたように明るくなって行くのを僕は目撃した。

「草笛さん、その話本当ですか!!」

彼はまるで牢獄にいた男が、看守から釈放の通達があり、天下御免、自由放免になった時のような生き生きした顔になった。
僕の伝言を聞いた時こそが、彼にとって人生で最も至悦の時だっただろう。

2007年3月、F氏は55歳で、定年を待たずに新町長に辞表を叩き付けた。
新町長はF氏を慰留することなく即辞表を受け取った。

F氏は島根県庁内の島根県企業立地(企業誘致)課の参与となり65歳まで島根県の企業誘致のため活躍尽力した。
人と言うものは置かれた場所次第で有能にもなれば、燻ぶりもする。

この物語で何が言いたかったかと言えば・・・・・・・・
人は自分が生かせる場所にいるべきであるということだ。
居たくもない場所にいると燻ぶり、腐って行ってしまう。

株の世界でも株が心底好きな者は株式投資をやっているときは顔が輝いている。好きでもないのに株をやっている者は燻ぶったままだ。
株に向かない人は、即刻株などやめて、こつこつ地味に積み立て預金でもしていればよい。

       スーパー公務員F氏 島根のコロンボ物語 完

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