手に結ぶ水にやどれる月影の あるかなきかの世にこそありけれ

紀貫之の辞世の句です

古希を越えるまで生きていると・・・同級生や先輩が次々と死んで逝きます。
とても淋しいことでございます。

株仲間が地獄の暴落相場で次々死んで逝くのと似ています。
そして誰もいなくなる。自分だけがなぜ無傷で生き延びているのか自問し神仏に感謝の祈りを捧げる日々でございます。

さきほど、一年先輩で親しかった人が亡くなったという知らせがありました。

この人は面白い人で、一緒に名古屋に行ったとき岡山から名古屋まで僕は生まれて初めてグリーン車で行きました。
僕は節約して普通席しかも自由席を使って生きてきたので新幹線のグリーン席など使う発想がなかったのです。
先輩が「みっともないから普通席になど乗るなや!」と僕を厳しく諭したことを覚えています。

服装に関しても先輩はネクタイも靴も高価なものを身につけていた。
食べ物も一流のものを食べていた。その結果、あまり預金はなかった。

その先輩が還暦を過ぎてから自宅の敷地内に5千万円で賃貸マンションを建てることを思いついた。

僕は

「還暦過ぎてから長期ローンを組んで賃貸マンションを建てる のは無謀ですよ。老後にあえて借金を抱えるなんてヤバいですよ」

と諫めました。先輩は笑って答えました。

「草笛君、お前馬鹿だな~~俺は還暦を過ぎているから これから何十年も生きるはずがないぜよ。 死んでしまえば、借金はあの世まで追いかけてこないぜよ」

その会話から10年経って、先輩は豪語していた通り早々とあの世に逝って、借金とは無縁の仏様になられました。
享年73歳。

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